特定技能「飲食料品製造業」とは?対象事業所・業務・試験と2027年の変更点

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特定技能「飲食料品製造業」は、酒類を除く飲食料品の製造・加工と安全衛生の業務に、試験に合格した外国人を直接雇用で受け入れる在留資格です。受け入れられるかは会社の業種ではなく、外国人が働く事業所の産業分類で決まります。

在留申請の前には、食品産業特定技能協議会への加入も必要です。2027年4月からは業務区分が2つに分かれ、医療・福祉施設給食業をこの分野へ移す案も示されています(2026年10月24日時点では案)。

武藤 拓矢

執筆者

特定技能外国人紹介・支援担当

武藤 拓矢(むとう たくや)

  • 申請等取次者
  • 外国人雇用管理主任者

合同会社エドミール代表。特定技能に特化した登録支援機関として、人材紹介から入社後の定着伴走まで支援。コミュニケーション量を重視し、長期定着につながる伴走を大切にしています。

特定技能「飲食料品製造業」はどんな在留資格か

飲食料品製造業分野で即戦力の外国人を直接雇用で受け入れる在留資格で、1号は製造・加工と安全衛生、2号は工程の管理まで担えます。1号は令和6〜10年度の5年間で13万3,500人を上限に運用されています。

根拠は、令和8年1月23日に閣議決定された分野別運用方針と、農林水産省の上乗せ告示(第526号)です。受入れの一般的な流れは製造業の特定技能受け入れ完全ガイドにまとめているので、この記事では食品製造の現場で受け入れるときの、飲食料品製造業分野だけの決まりに絞ります。

1号と2号でできることの違い

1号は指導者の指示を理解し、または自らの判断で製造工程の作業に従事します。2号は複数の技能者を指導しながら作業し、工程を管理する業務まで担えます。

区分主な業務現場での位置づけの例
特定技能1号飲食料品(酒類を除く)の製造・加工、安全衛生の確保製造ラインの作業者
特定技能2号1号の業務に加え、複数の技能者を指導しながら行う工程の管理ライン長・班長など

2号は在留期間の更新に上限がなく、要件を満たせば家族の帯同も認められます。長く現場を任せたい人材には、2号への移行まで見据えた配置が有効です。

派遣はできず請負は条件付き

雇用形態は直接雇用に限られ、労働者派遣の形では受け入れられません。製造請負は、請負先の事業所が主として飲食料品の製造・加工を行い、請負事業者が自ら指揮命令する場合に限って対象です。

製造請負などを行っている場合は、協議会の加入審査の際に関連する契約書の写しを提出します。指揮命令の実態が請負先にあると、偽装請負と判断されるおそれがあるため注意が必要です。

受入れ見込数の上限と受入れ停止の仕組み

1号の受入れ見込数は13万3,500人で、令和10年度末までの上限として運用されます。超える見込みになると、農林水産大臣が法務大臣に在留資格認定証明書の交付停止を求める仕組みです。

この仕組みは実際に使われています。外食業分野では、2026年4月13日以降に受理した1号の在留資格認定証明書の交付申請が原則不交付になりました。

受入れ対象になる事業所は日本標準産業分類で決まる

対象は、食料品製造業など告示に定める10分類を主として営む事業所です。判定は会社単位ではなく外国人が働く事業所単位で行い、直近の売上高が最も大きい活動で産業分類を決めます。

同じ会社でも、工場は対象で本社併設の販売店は対象外、ということが起こります。採用計画を立てる前に、配属予定の事業所ごとに分類を確認しておきましょう。

対象となる10の産業分類

対象は、中分類09食料品製造業を中心とする次の10分類です。小売業の分類は、食料品の製造を行う場合に限られます。

分類名称条件
中分類09食料品製造業—
小分類101清涼飲料製造業—
小分類103茶・コーヒー製造業(清涼飲料を除く)—
小分類104製氷業—
小分類583食肉小売業食料品製造を行うものに限る
細分類5621総合スーパーマーケット食料品製造を行うものに限る
細分類5811食料品スーパーマーケット食料品製造を行うものに限る
細分類5861菓子小売業(製造小売)—
細分類5863パン小売業(製造小売)—
細分類5896豆腐・かまぼこ等加工食品小売業製造を行うものに限る

※農林水産省告示第526号(令和8年4月15日最終改正)をもとに作成。条件の細部は告示本文で確認してください。

主たる経済活動は製品の売上高で決まる

一つの事業所で複数の活動をしている場合は、直近の売上高が最も大きい活動で産業分類を決めます。賃加工と自社製造が混在するなど売上高で測りにくい場合は、産出額や従事する従業員数などで判断します。

たとえば健康食品やサプリメントの工場は、食品として扱われる製品の売上が最も大きい場合に対象になります。医薬品・医薬部外品・食品添加物として扱われる製品が中心なら対象外です。

  1. 外国人を配属する事業所(場所と区画)を特定する
  2. その事業所の直近の売上高を活動別に分ける
  3. 最も大きい活動の産業分類が10分類に当たるかを確認する

セントラルキッチン・給食センター・スーパーのバックヤード

外食業者や給食事業者のセントラルキッチン、集中調理方式の給食センターのように独立した製造事業所は対象です。一方、学校の自校方式の調理室や医療・福祉施設に併設された厨房は、現行では外食業分野の対象です。

スーパーマーケットのバックヤードで惣菜などを製造する場合も、食料品製造を行う事業所として対象になり得ます。ただし協議会への加入時に、外国人を販売業務に従事させない旨の誓約書が求められます。

対象外になる業種

酒類製造業、塩製造業、医薬品製造業、香料製造業、飲食料品卸売業、ペットフード等の飼料製造業などは含まれません。告示に掲げる小売業を除き、小売店の店内の一区画で製造・加工しているだけの事業所も対象外です。

  • 酒類製造業(ビール・日本酒・ワインなど)
  • 塩製造業、香料製造業、医薬品製造業
  • 飲食料品卸売業
  • ペットフードなどの飼料製造業

判定に迷う場合は、協議会の加入申請をする前に農林水産省へ問い合わせることが求められています。

外国人に任せられる業務と専従させられない業務

1号には、原料の処理から加工、加熱、殺菌、成形、包装までの製造工程と安全衛生業務を任せられます。原料の受入れや納品、清掃などの関連業務は付随的に行えますが、パック詰め・検品・箱詰め・運搬だけに専従させることはできません。

「梱包要員として採用したい」という計画は、この分野の趣旨に合いません。製造工程を主業務にした配置を前提に、採用人数とシフトを組み立てる必要があります。

1号の業務は製造・加工と安全衛生の確保

業務区分は現在「飲食料品製造業全般」の1区分で、品目による細分化はありません。同じ工場内で製造ラインを移っても、飲食料品の製造・加工である限り業務区分の範囲内です。

技能実習では職種・作業が細かく分かれていました。特定技能では、惣菜ラインから菓子ラインへの配置転換のような運用もしやすくなります。

パック詰めや運搬だけの配置はできない

関連業務は、同じ業務に従事する日本人従業員と同程度に付随して行う範囲にとどめます。日本標準産業分類でも、単に選別や包装だけを行う事業所は製造業とされません。

  • 勤務時間の大半が製造・加工・衛生管理の工程になっているか
  • 検品・箱詰め・運搬の時間が、同じ職場の日本人と同程度か
  • 配置表やシフト表で、主業務が製造であると説明できるか

2027年4月から水産加工業の業務区分が分かれる

令和8年1月23日閣議決定の分野別運用方針で、業務区分は「飲食料品製造業」と「水産加工業」の2つに分かれます。切り分けは令和9年4月1日以降で、それまでは従前の扱いが続きます。

水産加工業の区分で採用する場合は、転職できる範囲を含むキャリアパスを雇用契約時に説明し、同意を得ることが協議会で定められています。水産加工を併営する食品メーカーは、どちらの区分で採用するかを早めに整理しておきましょう。

採用する外国人に必要な試験と日本語力

1号は飲食料品製造業特定技能1号評価試験と、JFT-Basic(A2.2相当以上)またはJLPT N4以上の合格が必要です。関連する技能実習2号の良好修了者は試験が免除され、2号は2号評価試験の合格と2年以上の工程管理の実務経験が必要です。

区分技能の確認日本語の確認
1号(試験ルート)1号評価試験の合格JFT-Basic A2.2相当以上 または JLPT N4以上
1号(技能実習ルート)関連する技能実習2号の良好修了で免除同じく免除
2号2号評価試験の合格+工程管理の実務経験2年以上令和9年4月以降はB1相当以上(取扱いは別途通知)

1号評価試験の内容と合格基準

試験は学科と実技(判断・計画立案)で構成され、HACCPに沿った衛生管理などから出題されます。合格基準は、学科と実技の合計得点の65%以上です。

想定される水準は、特段の訓練なしにHACCPに沿った衛生管理に対応できる程度です。1号の合格証書は、国内試験なら発行日から、国外試験なら試験日から10年間有効です。

日本語はJFT-BasicかJLPT N4

基準は「日本語教育の参照枠」のA2.2相当以上で、JFT-BasicのA2.2相当以上かJLPT N4以上の合格で証明します。

ただし試験の合格だけで、衛生記録の書き方や安全指示の理解まで保証されるわけではありません。面談では、現場で使う指示語や記録表を見せて理解度を確かめると安心です。

技能実習2号修了者は試験が免除される

技能実習2号を良好に修了し、修得した技能と従事する業務に関連性がある場合は、技能と日本語の試験合格の証明が不要です。この扱いは令和9年4月1日以降も当分の間続きます。

自社の技能実習生を1号へ移行させる場合は、職種・作業と配属先の業務が関連しているかを確認しましょう。移行時の書類は特定技能の申請書類一覧で確認できます。

2号は工程管理の実務経験が必要

2号評価試験の合格に加え、2名以上の作業員を指導しながら工程を管理する立場(ライン長・班長など)での実務経験が2年以上必要です。令和9年4月以降は日本語B1相当以上も求められますが、取扱いの詳細は今後示されます。

実務経験の証明には、辞令や職務命令書などの書面が必要です。1号の段階から、班長などへの任命を書面で残しておくと移行がスムーズです。

食品産業特定技能協議会への加入は在留申請の前に済ませる

受入れ企業は、外国人の在留諸申請より前に食品産業特定技能協議会へ加入しなければなりません。支援を登録支援機関に委託する場合は、その登録支援機関も申請前に加入している必要があります。

一部の解説には「入国後4か月以内に加入」という以前のルールが残っています。現行の運用要領別冊(令和8年8月28日一部改正)では申請前の加入が必要なので、時期を取り違えないようにしましょう。

加入時に求められる書類

協議会が求める場合は、対象の産業分類に当たることが分かる書類を提出します。登記事項証明書、定款の写し、売上高が分かる決算書類、保健所の営業許可の写しなどです。

  • 事業所の産業分類が分かる書類(登記事項証明書・定款の写しなど)
  • 売上高の内訳が分かる決算書類
  • 保健所の営業許可証の写し
  • スーパーマーケットの場合は、販売業務に従事させない旨の誓約書
  • 製造請負の場合は、請負契約書の写し

入会費と年会費は現時点で不要

公式FAQ(令和8年3月更新版)では、入会費や年会費は現時点で発生しないとされています。ただし将来の制度改正で負担を求める可能性があり、受入れ予定がなくなった場合は退会手続きが求められます。

協議会は、飲食料品製造業分野と外食業分野が共同で設置しています。加入方法は農林水産省の協議会ページで確認できます。

2026年から2027年にかけて何が変わるか

2026年は告示改正で食肉小売業が対象に含まれ、外食業分野では1号の新規受入れが制限されました。2027年4月からは業務区分の分離と育成就労制度の開始が予定され、医療・福祉施設給食業を移す案も示されています(2026年10月24日時点では決定前)。

時期変更状態
2026年4月13日外食業分野の特定技能1号の新規受入れを制限(例外あり)実施中
2026年4月15日上乗せ告示の最終改正(食肉小売業を含む)改正済み
2027年4月1日以降業務区分を「飲食料品製造業」と「水産加工業」に切り分け閣議決定済み
2027年4月育成就労制度の運用開始開始予定
2027年度(令和9年度)から医療・福祉施設給食業等を飲食料品製造業分野で受け入れ案(2026年10月19日に提示)

食肉小売業の追加と告示改正

飲食料品製造業分野の上乗せ告示は令和8年4月15日に最終改正され、対象事業所に小分類583食肉小売業(食料品製造を行うものに限る)が含まれています。精肉店のバックヤードで加工を行う事業所は、現行の告示で対象になるか確認できます。

外食業分野の受入れ停止

外食業分野は1号の受入れ見込数を超える見込みとなり、2026年4月13日以降の受理分から認定証明書を原則不交付、在留資格の変更も原則不許可とする措置がとられました。すでに同分野の1号で働く人の転職や在留期間の更新は通常どおり審査され、一部の移行にも例外があります。

有識者会議の資料では、外食業1号の令和7年時点の実績は4.4万人で、想定2.8万人の157.1%に達していました。飲食料品製造業分野にも同じ停止の仕組みがあるため、採用計画には余裕を持たせておきましょう。

医療・福祉施設給食業を飲食料品製造業分野へ移す案

2026年10月19日の有識者会議で、医療・福祉施設給食業等の新規申請分を、令和9年度から緊急的措置として飲食料品製造業分野で受け入れる案が示されました。対象事業所の告示に、学校教育・医療業・社会福祉介護事業等の事業所で施設給食業を営む場合を加える内容で、決定ではありません。

資料では、給食等調理員(学校給食除く)の有効求人倍率が7.37倍(令和8年5月)と示されています。移管分が飲食料品製造業分野の受入れ見込数にどう算入されるかは、資料では示されていません。

育成就労制度の開始

育成就労制度は2027年4月に運用開始予定で、飲食料品製造業分野の育成就労の受入れ見込数は令和9年度から2年間で6万1,400人です。育成就労を修了した人が、1号へ進む道も用意されています。

飲食料品製造業で受け入れる前に準備すること

事業所が対象分類に当たるかを確認し、在留申請前に協議会へ加入し、雇用契約前にキャリアアッププランを書面で説明する順で進めます。支援を自社で行うか登録支援機関に委託するかも、加入前に決めておきます。

  1. 配属予定の事業所が対象の産業分類に当たるかを確認する
  2. 支援を自社で行うか、登録支援機関へ委託するかを決める
  3. 食品産業特定技能協議会へ加入する
  4. 雇用契約の前にキャリアアッププランを書面で説明する
  5. 在留資格の申請を行う

事業所判定と協議会への事前相談

産業分類の判定に迷う事業所は、協議会の加入申請をする前に農林水産省へ問い合わせることが運用要領別冊で求められています。協議会で対象外と判断されると、その事業所では雇用できません。

  • 事業所ごとの売上構成(自社製造・賃加工・販売の割合)
  • 製造を行う区画と、販売や事務を行う区画の分け方
  • 製造請負の有無と、指揮命令を行う会社

キャリアアッププランと実務経験証明書

雇用契約を結ぶ前に、想定するキャリアルート、各段階の業務と年数、処遇の向上などを書面で交付して説明する必要があります。外国人から求められたときに、実務経験を証明する書面を交付することも受入れの基準です。

2号への移行を見据えるなら、ライン長・班長への任命を辞令で残す運用と組み合わせると効果的です。班長などの任命記録は、2号の実務経験を証明する材料になります。

支援を委託する登録支援機関の確認点

1号の支援計画を全部委託する場合は、協議会の構成員で、農林水産省と協議会に必要な協力を行う登録支援機関に委託しなければなりません。委託先が協議会に加入済みかを、契約前に必ず確認します。

  • 食品産業特定技能協議会の構成員になっているか
  • 飲食料品製造業分野の支援に対応しているか
  • 支援委託費と初期費用の内訳を示せるか

機関の選び方は製造業に強い登録支援機関の選び方、費用の目安は特定技能の受け入れ費用相場で紹介しています。

当社は登録支援機関の合同会社エドミールと連携し、食品工場のほか、給食事業者の特定技能受入れ(移管案への備えを含む)にも対応しています。自社の事業所が対象になるか、受入れ準備を特定技能外国人の紹介・支援サービスの無料相談で整理できます。

よくある質問

弁当・惣菜の製造販売店は対象になりますか?
弁当・惣菜を製造し、小売業者や卸売業者などへ卸す事業所は対象になります。客の注文に応じてその場で調理する持ち帰り店や、仕出し・配達サービスは外食業分野に当たるため対象外です。
健康食品やサプリメントの工場でも受け入れられますか?
食品として扱われる製品の売上が最も大きい事業所であれば対象です。医薬品・医薬部外品・食品添加物として扱われる製品が中心の場合は対象外です。
すでに外食業分野で働いている給食の外国人はどうなりますか?
移管案の資料は「新たに受け入れる外国人」を対象としており、すでに働いている人の扱いは記載されていません。経過措置などは、正式決定後の資料で確認が必要です。
技能実習生を同じ工場で特定技能1号に切り替えられますか?
技能実習2号を良好に修了し、修得した技能と従事する業務に関連性があれば、試験なしで1号へ移行できます。事業所が対象分類に当たることと、協議会への加入も必要です。
協議会への加入にはどれくらい時間がかかりますか?
農林水産省は、必要書類の送付から加入証の発行まで2〜3か月程度かかると案内しています。在留申請の前に加入が必要なため、この期間を見込んで準備してください。
1社で受け入れられる人数に上限はありますか?
飲食料品製造業分野の告示や運用方針には、1社あたりの受入れ人数の上限の規定は見当たりません。ただし分野全体に受入れ見込数の上限があり、超える見込みになると受入れが止まる場合があります。

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