
【2027年】特定技能の給食業務はどう変わる?飲食料品製造業への移管案を解説
公開日: | 最終更新日:
2026年10月19日の有識者会議で、病院や介護施設などの給食業の新規申請分を、2027年度から特定技能「飲食料品製造業分野」で受け入れる案が示されました。2026年10月23日時点では正式決定前の案です。
この記事では、政府資料で確認できる変更点・対象事業所・開始時期と、まだ決まっていない点を分けて整理します。給食事業者が決定前に進めておける準備もまとめました。

執筆者
特定技能外国人紹介・支援担当
武藤 拓矢(むとう たくや)
- 申請等取次者
- 外国人雇用管理主任者
合同会社エドミール代表。特定技能に特化した登録支援機関として、人材紹介から入社後の定着伴走まで支援。コミュニケーション量を重視し、長期定着につながる伴走を大切にしています。
目次
給食業務の特定技能は2027年に何が変わるのか
外食業分野で受け入れてきた医療・福祉施設給食業等の新規申請分を、令和9年度から緊急的措置として飲食料品製造業分野で受け入れる案です。2026年10月19日の第15回有識者会議で、出入国在留管理庁が資料として示しました。
対象の業務は、食材の下処理から非加熱・加熱調理までの一連の製造を行い、医療・福祉施設給食等を作る業務です。時事通信などの報道では「受け入れ再開」と表現されますが、外食業分野の停止解除ではなく、別の分野へ付け替える案である点に注意が必要です。
外食業から飲食料品製造業へ付け替える2つの措置
案の中身は、運用方針の付け替えと、対象事業所を定める告示への追加の2つです。どちらも、出入国在留管理庁の資料2-2「外食業分野における医療・福祉施設給食業等の飲食料品製造業分野での受入れ(案)について」に記載されています。
| 措置 | 変更の内容(案) |
|---|---|
| ①分野別運用方針の改正 | 育成就労の外食業分野で主たる技能とされている「医療・福祉施設給食製造」を、飲食料品製造業の業務区分へ付け替える |
| ②上乗せ告示の改正 | 飲食料品製造業分野の受入れ対象事業所に、医療・福祉・教育の事業所で施設給食業を営む場合を追加する |
移行後も外食業に残る業務
資料の移行後の図では、店舗と社員食堂での調理・店舗管理・接客は外食業に残ります。医療・福祉施設や学校等での調理が、飲食料品製造業側へ加わる形です。
| 事業所の例 | 移行前 | 移行後(案) |
|---|---|---|
| 飲食店などの店舗 | 外食業 | 外食業 |
| 社員食堂 | 外食業 | 外食業 |
| 医療・福祉施設、学校等の給食(調理) | 外食業 | 飲食料品製造業 |
| セントラルキッチン、学校給食センター | 飲食料品製造業 | 飲食料品製造業 |
| お弁当・惣菜製造、食品メーカー工場、水産加工場 | 飲食料品製造業 | 飲食料品製造業 |
給食の移管はもう決定したのか
決定していません。2026年10月23日時点では有識者会議に示された案で、分野別運用方針と上乗せ告示の改正はまだ行われていません。
時事通信(2026年10月19日配信)は、政府が12月の閣議決定を目指していると報じていますが、政府資料には決定時期の記載がありません。会議の議事要旨・議事録も「追って掲載予定」とされています。
正式決定までに残る手続き
案が実施されるには、分野別運用方針の改正と、飲食料品製造業分野の上乗せ告示の改正が必要です。そのうえで、受入れ機関向けの運用要領などで実務の細部が示されると見込まれます。
- 有識者会議で案を提示(2026年10月19日、実施済み)
- 分野別運用方針の改正(時期は未公表)
- 上乗せ告示の改正(時期は未公表)
- 運用要領など実務資料の更新(時期は未公表)
- 令和9年度からの新規申請の受付(具体的な開始日は未公表)
報道と政府資料で書かれている範囲の違い
政府資料が示すのは、対象業務・対象事業所・「令和9年度から」という時期までです。閣議決定の時期や「来年(2027年)4月から再開」といった見通しは、時事通信(2026年10月19日配信)などの報道が伝えている内容です。
| 項目 | 政府資料で確認できること | 報道で伝えられていること |
|---|---|---|
| 位置づけ | 有識者会議に示された案 | 受け入れ再開へ |
| 時期 | 令和9年度から(新規申請分) | 2027年4月から緊急的に受け入れ再開 |
| 決定時期 | 記載なし | 2026年12月の閣議決定を目指す |
対象になる給食の事業所と業務
対象案は、日本標準産業分類の中分類81・82・83・85を営む事業所で、小分類773施設給食業を営む場合です。業務は、食材の下処理や非加熱・加熱調理などの一連の製造で施設給食等を作る業務とされています。
ただし、事業所ごとの最終的な判定基準は、告示と運用要領の改正を待って確認する必要があります。現時点では「自社がこの組み合わせに当たりそうか」の見当をつける段階です。
産業分類コードで見る対象事業所
判定の軸は、中分類のいずれかの事業所であることと、そこで施設給食業を営んでいることの2段階です。中分類4つは次のとおりです。
| 中分類 | 名称 | 施設の例 |
|---|---|---|
| 81 | 学校教育 | 小中学校、高校、大学など |
| 82 | その他の教育、学習支援業 | 学校教育以外の教育・学習支援施設 |
| 83 | 医療業 | 病院、診療所など |
| 85 | 社会保険・社会福祉・介護事業 | 老人ホーム、障害者支援施設、保育所など |
いずれも、そこで小分類773「施設給食業」を営む場合が追加される案です。施設の例は一般的な分類の目安で、個別の判定は改正後の資料で確認してください。
病院・介護施設・学校給食はどこまで含まれるか
資料2-2は医療・福祉施設だけでなく、学校教育の事業所も対象に含めています。移行後の図にも「医療・福祉施設、学校等(調理)」と記載されています。
なお、学校給食センターは移行前の図から飲食料品製造業側に描かれています。自治体の直営か委託かで扱いが変わるかなど、施設ごとの細かな論点は改正後の資料で確認が必要です。
受託給食会社と社員食堂の扱い
社員食堂は、移行後の図でも外食業側に残っています。病院などの調理場を借りて営業する受託給食会社がどの事業所として判定されるかは、資料2-2では明示されていません。
資料2-2は、給食の現場について「病院等の調理場を借り受けて営業する場合も多い」と触れています。受託会社は次の論点を、改正後の告示・運用要領で確認しておくと安心です。
- 自社の事業所が日本標準産業分類でどこに分類されるか
- 受託先施設との契約形態と、従事する場所
- 社員食堂など外食業側に残る業務を兼ねる場合の扱い
給食分野の受入れはいつから始まるのか
資料上の開始時期は令和9年度(2027年4月〜2028年3月)からの新規申請分です。時事通信は2027年4月から受け入れを再開すると報じていますが、具体的な受付開始日は政府資料では示されていません。
開始日は、正式決定後に出入国在留管理庁や農林水産省が公表する資料で確認してください。採用計画は「令和9年度のどこかで受付が始まる」前提で、余裕を持って組むのが安全です。
2026年度中に給食で外国人を新規採用できるか
海外からの呼び寄せや他の在留資格からの切り替えによる新規受入れは、原則として難しい状況です。外食業分野では、2026年4月13日以降に受理した在留資格認定証明書の交付申請が原則不交付とされています。
一方で、外食業分野で働く特定技能1号の人の分野内転職と、在留期間の更新は通常どおり審査されています。出入国在留管理庁の外食業分野の審査状況ページ(2026年10月19日掲載)で、申請区分ごとの扱いを確認できます。
| 申請区分(外食業分野) | 扱い |
|---|---|
| 在留資格認定証明書(海外からの呼び寄せ) | 2026年4月13日以降の受理分は原則不交付 |
| 技能実習(医療・福祉施設給食製造作業)からの変更 | 2026年9月30日受付分までは通常どおり審査 |
| 外食業分野の特定活動(特定技能1号移行準備)からの変更 | 2026年9月30日受付分までは通常どおり審査 |
| 特定技能1号(外食業分野)からの変更(分野内の転職) | 通常どおり審査 |
| 上記以外の在留資格からの変更 | 2026年4月13日以降の受理分は原則不許可 |
| 在留期間の更新 | 通常どおり審査 |
2027年4月に重なるほかの制度変更
2027年4月には、育成就労制度の運用開始と、飲食料品製造業分野の業務区分の切り分けも予定されています。給食の移管案とは別の変更なので、混同しないようにしましょう。
| 変更 | 時期 | 状態 |
|---|---|---|
| 給食業の飲食料品製造業分野での受入れ | 令和9年度から | 案(2026年10月19日に提示) |
| 育成就労制度の運用開始 | 2027年4月 | 運用開始予定 |
| 業務区分を「飲食料品製造業」と「水産加工業」に切り分け | 2027年4月1日以降 | 出入国在留管理庁が公表済み |
なぜ給食だけ飲食料品製造業へ移す案になったのか
給食の現場は接客の比率が低い事業所が多く、外食業の受入れ停止で人材確保がさらに難しくなったためです。資料2-2は、このままでは患者や利用者に合わせた給食の提供が難しくなるおそれがあるとしています。
とくに人材確保が難しい地方では、栄養管理や療養環境の維持に重大な支障が出るおそれがあると説明されています。そのため「今期における緊急的措置」と位置づけられています。
数字で見る給食現場の人手不足
給食等調理員(学校給食除く)の有効求人倍率は7.37倍で、職業計の0.99倍を大きく上回っています。数値は令和8年5月の厚生労働省「職業安定業務統計」を資料2-2が引用したものです。
| 職業 | 有効求人倍率(令和8年5月) |
|---|---|
| 給食等調理員(学校給食除く) | 7.37倍 |
| 学校給食調理員 | 2.36倍 |
| 飲食物調理従事者 | 2.15倍 |
| (参考)職業計 | 0.99倍 |
厚生労働省が日本メディカル給食協会の会員事業者に行ったアンケート(対象38社、有効回答34社)では、欠員のない事業者はありませんでした。多数欠員が38%、欠員ありが59%、撤退も検討が3%です。
1日平均の提供食数は令和6年度の2,950,471食から令和8年度見込みの3,173,872食へ増える一方、調理従事者数は130,005人から129,642人と横ばいです。求人充足率は33.0%(採用49,351人/募集149,418人)にとどまっています。
接客の少なさが分野を分ける理由
外食業は調理・店舗管理・接客を担う分野で、接客のない事業所はこれまでも飲食料品製造業分野で受け入れる運用がありました。資料2-2は、セントラルキッチンのような事業所を例に挙げています。
医療・福祉施設の給食も、業務内容を精査すると接客の比率が低い事業所が多いとされました。この「接客の有無」が、今回の付け替えの判断軸になっています。
受け入れる外国人と事業者の要件はどう変わる見込みか
飲食料品製造業分野で受け入れる案のため、外国人には同分野の技能水準が、事業者には食品産業特定技能協議会への加入などが前提になる見込みです。試験の扱いや手続きの細部は、改正後の運用要領で確認が必要です。
以下は、現行の飲食料品製造業分野の要件と、資料2-2に書かれた内容を分けて整理したものです。移管後にそのまま当てはまるかは、正式決定後の資料で確認してください。
外国人に求められる技能と日本語
現行の飲食料品製造業分野の特定技能1号では、技能試験と日本語試験の合格が基本です。農林水産省の飲食料品製造業分野のページでは、日本語はJFT-BasicまたはJLPT N4以上の合格とされています。
資料2-2は、特定技能1号の技能水準を「HACCPに沿った衛生管理に直ちに対応できる程度」と示しています。育成就労では、次の内容を身につける育成イメージです。
- 1年目は衛生管理・下処理・調理・計量・盛付
- 2〜3年目はアレルギー等に配慮した調理など
給食業務の移管後に、外食業の試験合格者がそのまま飲食料品製造業分野で働けるかは、政府資料に記載がありません。採用候補者の試験区分は、正式決定後に確認してください。
受入れ事業者側の要件と協議会
飲食料品製造業分野の受入れ機関は、食品産業特定技能協議会への加入が必要です。この協議会は、飲食料品製造業分野と外食業分野が共同で設置しています。
分野が変わる際に、どの時点で何を届け出るかは改正後の運用要領で確認が必要です。受入れの流れや企業側の要件全般は、製造業の特定技能受け入れガイドで整理しています。
給食事業者が正式決定までに準備しておきたいこと
決定を待つ間に、対象事業所に当たるかの確認、受入れ人数と配置の計画、採用ルートと支援体制の候補選びを進めておくと、受付開始後に手続きへ移りやすくなります。いずれも、案の段階でも始められる準備です。
給食会社の費用の目安は給食会社の外国人採用費用、採用の条件と流れは給食会社が特定技能外国人を採用する方法で解説しています。予算化の材料として先に確認しておくと、社内の稟議を進めやすくなります。
決定前に確認しておく3つのこと
確認したいのは、事業所の分類、受託先との契約形態、受入れ後の配置と教育体制の3点です。正式な判定基準は改正待ちのため、ここでは見当をつける目的で整理します。
| 確認すること | 主な確認先 |
|---|---|
| 事業所の産業分類と施設給食業に当たるか | 社内(総務・経理)、受託先施設 |
| 受託先施設との契約形態と従事場所 | 受託先施設、社内(営業・法務) |
| 受入れ後の配置、シフト、衛生教育の体制 | 現場責任者、登録支援機関や行政書士 |
受入れ準備の相談先を選ぶときの視点
相談先は、飲食料品製造業分野の支援に対応し、制度改正の内容を一次資料で説明できる登録支援機関や専門家を選ぶと安心です。
- 飲食料品製造業分野の支援に対応しているか
- 制度改正の内容を一次資料で説明できるか
- 協議会の加入手続きに対応しているか
- 費用の内訳を示せるか
登録支援機関の比較の視点は、製造業に強い登録支援機関の選び方でまとめています。
当社は登録支援機関の合同会社エドミールと連携して特定技能外国人の紹介・支援を提供しており、給食事業者の特定技能受入れにも対応しています。移管案への備えとして、自社の給食業務が対象になりそうかや受入れ準備を、特定技能外国人の紹介・支援サービスの無料相談で整理できます。
特定技能の給食業務の移管でよくある質問
- すでに外食業分野で働いている給食の特定技能外国人はどうなりますか?
- 現行制度では、外食業分野の特定技能1号の在留期間更新と、外食業分野内での転職は通常どおり審査されています。資料2-2は「新たに受け入れる外国人」を対象としており、移管に伴う既存就労者の経過措置や分野変更の要否は記載されていないため、正式決定後の資料で確認が必要です。
- 外食業分野の受入れ停止も解除されますか?
- 今回の案は、給食業を飲食料品製造業分野へ付け替えるもので、外食業分野の停止解除ではありません。外食業分野そのものの再開時期は、政府資料では示されていません。
- 育成就労でも給食業務は対象になりますか?
- 資料2-2は、育成就労の外食業分野で主たる技能とされている「医療・福祉施設給食製造」を、飲食料品製造業の業務区分へ付け替える案を示しています。育成就労制度は2027年4月に運用開始予定です。
- 飲食料品製造業分野に受入れ人数の上限はありますか?
- 出入国在留管理庁のページでは、特定技能1号の受入れ見込数は令和11年3月末までで133,500人とされています。給食業の移管分がこの数字にどう算入されるかは、政府資料では示されていません。
- 移管案はどこで確認すればよいですか?
- 出入国在留管理庁の第15回有識者会議のページに、資料2-2を含む会議資料が掲載されています。正式決定後は、分野別運用方針や告示の改正として公表される見込みです。
Service
製造業向けのサービス
Contact
お問い合わせ
まずはお気軽にお問い合わせくださいませ。
誠心誠意、対応させていただきます。



